2010年3月10日水曜日

ナウシカ読み終わった

今日こそは久しぶりに職場近くのスポーツセンターで泳いで体力向上に努めようと、朝から心に決めていた。

定刻に上がるために早めに出勤するという計画まで考えたものの、残念ながら少し遅刻してしまいつつ、少しくらい勤務時間が足りなくなるくらいでは揺るがないほどに俺の決意は堅かった。

もちろん、予想外の降雪でさえ、躍動と解放の時を待つ俺のマッスルハッスルを止めることは出来ない。

閉館までの時間からして、30分ほどしか泳げないとしても挫けない。今の俺ならば、その間に1000mくらい泳げば明日は全身が震えるほど疲労するだろう。いいじゃないか!

と、激戦の最前線に赴く兵士のごとき意気でスポーツセンターのドアをいざ開かんと手をかけた時、ガラスの向こうに

「3/10までプールはお休みです」

の文字が見えた。


…仕方ないので真っすぐ帰り、いつになく帰宅が早くなったので、先日から読み進めているナウシカの原作コミックを楽しむことにした。せっかくなので自宅近くのカフェ(さいたま市民のスタンダード、珈琲館)で、ホットケーキを食いながら。…おかしい。ハードに運動して肉体を鍛錬するはずだったのに、何故かいつも通りにインドアまったりな時間を過ごしてしまった。


それはそれとして、ついに7巻、最終巻だ。小学生の頃から気になっていた”続き”をようやくすべて読んだ。必ずしも”続き”ではなかったのだが…

結論から言うと、だいぶ、かなり、非常に、面白かった。

なにせ、前にも書いたけど、こんなにもSFだったとは、というのが驚愕だ。

粗筋は書きたくなるけど野暮だから書かない。

けど、テーマになっている「生態系」というものの解釈が、通り一遍のエコではなく、ああ、この作者は本当のところがわかっているんだと(俺が考えるところの”本当のところ”についてだ)思った。

率直に言って、俺は生態系なるものには一家言あるつもりでおり、半端な「自然を大事に」系説教には辟易してしまうクチだ。が、ナウシカで語られるそれは、そう薄っぺらくなかったということが、映画よりかなり明確に示されていて吃驚した。


まあ、物語的なところは多くを語るまい。とにかく良い。俺は絶賛する。


で、後のところとして、面白かったのはやはり絵だ。

正直に言うと、宮崎駿は漫画は下手だな。うん。だいぶ下手だと思う。漫画のテクニック的には。漫☆画太郎といい勝負ではないだろうか。

だが、それはさておきとして、やはり絵がいい。テクニックをカバーして余りあるものがあるように思う。

そもそも、いわゆる宮崎アニメが面白いのは、説教臭いテーマとか、緻密な設定とか、魅力的な世界観とか、まあ何だかいろいろあるだろうが最終的には、単純に絵的に面白い、視覚的に印象に残るシーンがたくさんある、というところだろうと思う。

そういう意味で、絵がよくて、ほんとにこの原作ママのバージョンを今一度映画化してくれまいか、と思いつつ、ジブリでやっても駿でなきゃダメだろうし、駿にもはやその体力はないのだろうなと。


その点が残念だったが、久々に面白かった。うん。



ちなみに、もうひとつ微妙に残念だったのは、これを読んでしまったことで、エヴァンゲリオンが思ってたほど斬新でなかったと気づいてしまった点かね。

庵野監督が巨神兵のシーンで作画?か何かしてたのは有名だが…それにしても…。

ナウシカの映画よりは後、エヴァのテレビ放送より前に書かれたコミック後半での巨神兵の活躍その他を見てしまうと…何か、妙なデジャビュが。

大型飛行機に吊るされて運搬される巨人。
乱杭歯、よく見るとメカな歯、機械のような複数の光彩を放つ瞳、野性的なアクション、カパっと開く顎を持つバイオテクノロジーの結晶。
本気を出したら輝く羽を広げ、神のような巨人。それ自体が裁きを下すべく設計されている。空中で、十字に張り付けられたような姿。

モノリスのような黒い構造体、実は生体のようでもあり、巨人に引き裂かれて血飛沫をあげる。光のようなものによる精神攻撃で自我が崩壊させられる。

計画通りの滅びを画策する人間の組織。

死海文書ならぬ腐海文書(そもそもは現実に伝わる”死海文書”がモデルだとしても)。

神話と科学技術の混交。中に包まれても呼吸ができる、生命維持装置的な液体。作られた人間。母性。血と内蔵をまき散らしながら戦う、意思を持った兵器としての人造人間。

…と、羅列したのは全部、ナウシカのコミックで出て来たモチーフなんだがね、これ、そのまんまエヴァの主要なモチーフじゃんよ。

まあ、別にパクリだなんだって騒ぐもんでもないと思うが、ただ、思ってたほど斬新じゃなかったんだなあ、と。そもそも絵的に。ちょっとこう、「なーんだ」という感じ。

この原作を読んでしまうと映画の「ナウシカ」が薄っぺらく不完全なものに感じてしまう人もいるようだけど、そもそもこの原作終わったのは映画の10年以上後のようだし、2時間でまとめるとしたらやはりあの映画は秀逸だと思うなあ。話のエッセンスは抽出し絵としての見せ場はしっかり残して…すごいと思うわ。

やはり宮崎駿には今一度、ほのぼの系でない映画を作って欲しいなあ。

0 件のコメント:

コメントを投稿