幼児の真似をする場合、「ボク3さい」と言うのはありがちだが、「ボク2さい」と言うのはあまり聞かないだろう。これは実際のところ的を得ていて、2歳の誕生日から3歳の誕生日までの間に、人間の言語能力は臨界点を突破するのだ。人間以外の動物でも高等なものは3歳児程度までの知能は有する。志村どうぶつ園のチンパンジーなどデジカメで写真を撮るしな。が、つまりはその辺りが限界で、その限界を超えて人間が動物と一線を画す…言葉によるコミュニケーションと思考をもって、あらゆる生物の中でももっとも長い発生過程を終り、いよいよ人間として十全な個を確立する…そういう時期に我が娘が差し掛かっている。おもしろい。
さて。
2歳と2ヶ月を迎えようとする我が娘ザッキーは、まだオムツだ。気の早いところでは1歳そこそこでトイレトレーニングを始めるようだが、ウチはのんびりしている。未だかつて、トイレトレーニングを失敗したばかりに大人になってもオムツをしているという人物には遭遇したことがないので、こんなのは訓練しなくても出来ると思っているし、言葉が通じなくて何で怒られているかわからないような幼児に訓練を施そうとすれば教育ではなく調教にならざるを得ず、それは俺の望むところではないからだ。
が、テレビなどで情報を仕入れるためか、最近はザッキーが勝手にトイレに興味を持ち出して来た。
しばらく前には、マクドナルドのオマケでもらったトイレのおもちゃ(バイキンマンの絵がついた直径5cmほどの水洗トイレ)でぬいぐるみを使って勝手に手順確認に励み、次に自分が腰掛けようとして座れず(当たり前だ)、癇癪を起こして泣いていた。
そして先日、家の打ち合わせのために某メーカーのモデルハウスを訪れていた時のこと。
リビングの設備など見てプラプラしてたらザッキーの姿が見当たらない。
…と、なんと、備え付けのトイレ(と言っても、水は止めてあり動作しない)に勝手に侵入し(滑りがよく軽い引き戸だったため可能だったようだ)、便座に上り、「んー!」と気張り(フリのみ)、紙でケツを拭き(フリのみ)、降りてトイレの前の洗面台(これも水は出ない)で石けんをつけて(包装してあるので泡立たないが)手を洗い(当然フリのみ)、横に置いてあったタオルで手を拭いて(濡れてないが)、えらく納得し得意げになっていた。
本物の設備を使っての完璧なシミュレーション。さすが我が子。これだけのことを、まったく自発的に行うとは。
…と、その日の夕方に、最近の熱意に答えるかたちで妻がAmazonで買っておいたアンパンマンの便座が届いた。
段ボールを開封した時には、ザッキーはパッケージ写真などからそれが子供便座だと気取ったようで、「○×#%★ー!」と奇声を発して踊りながら喜ぶ始末。
で、さっそくトイレに装着したのだが…。
トイレに来るまでは威勢が良かったのだが、オムツを降ろして座ると、かつてないケツのスースー感のためか実稼働中リアルトイレの独特の臭気(我が家のトイレは小便臭くはないはずだが、芳香剤などの臭いはある)のためか、どうも落ち着かないらしく、おしっこは出なかった。
結局、相変わらずオムツをパンパンに膨らます生活が続いているが、トイレを怖がらないだけで上等だろう。後はゆっくりやればいい。
と言うか、俺は内心、まだ当分はオムツでいて欲しい。子どものオムツ姿は何とも可愛い。叫んで気張ってどっさりとウンチをした後、すっきりして鼻歌を歌いつつもケツから異臭を漂わせている姿も何とも可愛いのだ。こんなことが許されるほどに幼いということが。
パンツになって、ペラペラと喋るようになって、そしたらきっと俺や妻に似てことあるごとに能書きこいて反抗して来るんだろうなとか、あっと言う間に嫁に行ってしまうんだろうなとか。
まあ、そんな典型的親バカペシミズムに浸ってても仕方ないか。寝よう。
明日の朝も早々にザッキーが「おきろおきろ起きろーぅ!」と巻き舌気味に起こしに来るだろうし。
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