2009年2月22日日曜日

仕事の評価 Großbelastungskörpe

窓のない重量1万2650トン、高さ18mのコンクリート塊。
ナチスが建造し、3年で7インチ(17.8cm)のペースで地中に沈んでいる物体です。



http://www.gizmodo.jp/2009/02/grossbelastungskorper_1.html




ということで、ギズモードおよびライブドアのニュースで紹介されていた、ナチスの遺構。

で、その解説と評価。


こんな変なものベルリンの真ん中に作ってナチスも何かんがえてるんでしょうね。秘密兵器の隠し場所? ヒトラーと親衛隊を隠す極秘の超ヘビーな箱? はてまたナチスの地獄の入り口…? 

答えは、もっと分かりきったもの。馬鹿みたいなことです。
 

このschwerbelastungskörper。実は、ベルリンの地盤がどれだけの重みに耐えうるか、その強度を調べるため造ったものなのです。

(中略)

結果は思った以上に悪く、コンクリート塊は最大2.5インチまでならまだしも、先述のように3年で7インチ(17.8cm)も沈下、予定よりずっと手間がかかることが判明しました。彼らの狂ったアイディアは他も大体こんな調子でしたけど…。あの変なちょび髭男の失敗は、こんなところにも残ってた、ということで。





…。

どこが狂ってるって?

すまんが俺にはよくわからない。

こういう調査方法は建築業界では意味のない方法であることが自明だということか?

そうではないだろう。



ナチスやヒトラーの行為が、善いことであったとは思わないし、彼らが常に論理的であったとは思わない。

しかし、巨大な建造物を作るにあたり、サンプルを用いて実際に地盤沈下があるかどうか調査しようという方法の、どの辺りが「狂ったアイディア」なのかな?

少なくとも、俺には、とても有効な方法論に思える。70年ほども前の話なら尚更だ。東京で人為的な地盤沈下公害が出たのは戦後だそうではないか。軟弱地盤上の建築物は、比較的最近にも大きな問題になっていたと思うが。戦後、いや今でも、地盤沈下は懸念すべき問題であり、また完全な予期が出来ない問題なのだろう。

それでどうして、70年ほども前の大きなプロジェクトの前に、確証の薄い理論よりも確実性の高い実験方法で、あらかじめ調査を行い、「危険性あり」と予見したことを、「ちょび髭男の狂ったアイディア」などと一蹴して嘲笑できるのだろうか。実験は正しい結論も導いたようなのに。


彼らの行いが、全体において非道だったとしても、それは個々の行いそれ自体が、その直接的な目的に対して持っていた効果、妥当性の評価とは関係ないだろう。ゲルマニアが誇大妄想だったとしても、それと地盤調査の方法論の妥当性は別じゃないか。


もっとも、建築学的、地質学的に、彼の方法は意味がない、というならば、笑えばいい。それがわかる人は。

だが、引用したニュースの記事を書いたり訳した連中は、そんなことはまるで理解できていないのではないか?自分でその価値についてなんの理解も出来ないし、する気もないのに、ただ敗者の行為だというだけで、侮蔑する。

そういう人間には、言ってやりたいのだ。

ナチスの科学技術力は高かったに違いない、しかしそれを超える戦力を連合国を持っていた、そして、かつて連合国だった国にお前が住んでいるとしても、だからと言ってお前がナチスやヒトラーを屈服させたわけじゃない。お前が勝ったわけじゃない。


俺はナチスや旧帝国軍に気触れてるわけじゃない。あんな記事を書いたり、同意するような、短絡的な傲慢さを持った人間は、つまり少しでも自分が相手より権力に近い立場にあると思えばそれだけで自分が相手に対して絶対的な価値の決定権を持てると錯覚するカスであり、そういう人間がつまり、そのちょび髭男なる人物に力を与え与えられ、人々を踏みにじったのだろう、と、そう思っているだけだ。

だから、例え対象がナチスであろうと殺人犯であろうと、根拠なき嘲笑や侮蔑という行為は、それこそが軽蔑の対象だ。

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