iPhotoがあるって?いやアレはダメだ。ダメじゃないけど。フォトライブラリとしては極めて優秀と思うが、フォトレタッチソフトではない。レタッチ機能が最近かなり強化されているとは謂えども。
で、そんな場合、俺は過去にはもちろんPhotoShopを使っていた。が、今のMacBookに入るバージョンを持っていないのだ。PowerPC用のとWindows用のはあるのだが。
で、久々に画像を弄ろうと思って困ったので、ああそうだと、Gimp2を使うことにした。
http://www.gimp.org/
…まえにも書いたかな?まあいいや。
Gimpはオープンソースの画像編集ソフトで、MacBook(OS X)を含む各種プラットフォームで動作する上に、タダだ。ロハだ!無料だ!
無料ではあるが、機能はかなりPhotoShop的だ。レイヤーやマスク、パス、各種色変換、フィルター…およその機能はある。つうか何か足りないものあったっけ?だ。
ただ、X11ウィンドウシステム(Mac OS Xのコアの部分であるUNIXの本来のGUI)上で動くためかどうか知らないが、その他のMacのアプリケーションと微妙に動きが違うし、もっさりしている。ウィンドウがいつも画面からはみ出て表示されるなどの不備もあったりする。
特に、⌘、control、optionといったキーの使い方が、いちいちAppleの慣習と違っていて戸惑う。まあ戸惑うだけだ。適当にやってればそのうちわかって来るレベルではある。
機能自体は、PhotoShopを使ったことがあれば機能のほとんどは直感的に理解可能だが、これまたビミョー…に、ズレてたり不親切だったりするところがあるのでたまに罠に嵌ってイライラすることもあるが、これもまあ慣れだろう。
何せPhotoShopは7万円とかする(1万円くらいのはここでの比較対象じゃない)のにGimpはタダだ。多少のアレコレは我慢しなければならない。
ま、そんなこんなで初めて真面目にGimpを使ったのだが、結論としてはまあ、イケる。うん。
やったのは、ま、年賀状を作っただけなんだけど。
色白でとても可愛い我が1歳の娘(親バカ)の写真を使いつつ、且つオシャレっぽい年賀状をという、極めてありきたりでありつつそれでいてそれだからこそ難易度の高い妻からの要求に応えるべく。
娘が公園で枝持って歩いている写真があったので、それをまず切り抜いた。背景はただの公園だから印刷してもインクの無駄だ。
切り抜きの手順は、まあアマチュアですしGimpは言った通り使ったの初めてですし、これが最適とは言わないが、Gimpでどんなことが出来るかの参考程度に書いてみる。
- 近似色選択ツールで適当にやれるだけやる(背景と娘の境界を拾えるように)
- クイックマスク(Shift + Qで切り替わるので便利だ)で、もうちょっとちゃんと切り抜く。タブレットを使ったが、そう繊細な作業はしてないのでトラックパッドでも出来る程度だ。
- 雑な切り抜きを誤摩化すために、「選択範囲を拡大」したり「縮小」したりする。拡大して縮小すると図形によっては必ずしも元に戻らない。結果、選択範囲のエッジが多少滑らかになる(PhotoShopなら最初からそういうコマンドがいくつかあったが)。
- さらに選択範囲をぼかして誤摩化す。クイックマスクで作業した方がよい。
- いい案配で選択できたらアルファチャンネルに保存しておくと便利だ(選択範囲メニューにある)。後で、使えることがある。たまに。
- 選択範囲を使って、とりあえず背景を消す。
- 新規レイヤーに、ネットで拾った虎画像を張りつけ
- 拡大縮小で娘と縮尺を合わせ
- 虎も娘同様に選択で切り出して背景を消して
- それぞれ、色変換(ポスタリゼーション)でイラスト風にする。元の画像の品質がバラバラだから、虎と娘の設定は値を揃えず個別に調整した。
- 虎と娘のレイヤーを統合し、フィルター(油絵)でさらに絵画風にする。このとき、服や毛並みが十分に”絵”になる強度でフィルターを使うと、顔のディティールが潰れてしまう。ので、クイックマスクで、不透明度50%のぼやけたブラシを使い、娘の目と口、虎の目のあたりだけ油絵フィルターがかからないようにした。
- すっかり写真ではなくイラストになった虎と娘が連れ立って歩いてる様はなかなか可愛いと自己満足。
- 興が乗ってきたのでさらに、レイヤーを上に追加して、パターンブラシ(モジャモジャしたパターン)で描画色をパターン(葉っぱ)にして、虎と娘の足下に影を付ける。葉っぱの色調を服に合わせてブルーグリーンにしてメルヘン風味を加味しつつ靴のすぐ下には焼き込みツールでさらに影を付ける。
- パスで3本、娘が手にした木の枝から流線を描く。新しいレイヤーにインクツールでパスにストロークを描く(ペンより太さの変化が自然だ)。描いたストロークは淡くして調整したあと、描画色を色相だけピンク系に変え、透明へのグラデーションを適用する。透明部分の保護をしておけば、流線部分にだけグラデーションは適用できる。
- せっかくなので、♪なんか散らしてみる。これもレイヤーを追加し、パスをくねくねっと引き、文字ツールで音符の羅列を描いた後、文字ツールパレットの「パスに沿って」みたいな機能を使う。
- 最後に、 Happy New Yearとか描いて、フィルターからドロップシャドウを(あくまで上品に)設定。ドロップシャドウは、一瞬それとわからないレベルが鉄則だと何かで読んだ。
あれ。切り抜きだけじゃなく全編行ってしまった。まあいいか。
一応、出来た作品も。ま、プログラマというのは画像編集ソフトの使い方は知っていても使いこなすためのセンスはない、というのは非常によくあることなので、そういうのは多めに見てくれ。
…俺は自分の写真がインターネットに載るのはあまり抵抗がない方だが、どうも娘のは抵抗あるので虎部分あたりだけ。
作っていて、これはテクニックだなと思った部分がひとつ。
俺が使ったGimpは2.6.6だが、テキストツールで文字を入力するとき、日本語が打てなかった。
しかし、試してみるとテキストエディタなどに打っておいてコピー&ペーストすればちゃんと日本語も扱えることがわかった。
が、ここにもう一段罠があり、Gimpのテキスト入力欄にカーソルを合わせてコマンドPを押してもペーストできない。だが、control+クリックでコンテクストメニューを表示し、「貼付け」を選択すればペーストできる。
こういう微妙な罠がたくさんあって苛つくかも知れないが、左記のように失敗写真を奇麗にするんじゃなくて写真を素材にして別物の絵を作るには、iPhotoじゃなくてGimpが必要だ。
…とは言え、正直言って、買えるならPhotoShopを買う方がいいだろう…両者の間には超えられない壁を感じた…。
しかし、久しぶりに画像をいじったらなかなか面白かったなあ。たまにはまた何か描いてみてもいいかも知れない。