大きく開口したフロントカウルに縦に並んだ異径の二眼が、異形の気配を醸し出す。
言ってみればある種の有機的な、昆虫的な、汎用人型決戦兵器的な、モビルスーツ的な。
コストパフォーマンスに優れ圧倒的人気の”通勤快速”アドレスV125G、安心品質に超原付級トランクのリード110、誰もが認めるスタイリッシュさのシグナスX、それらとの(俺の脳内の)厳しいコンペを制した決定的な要素は結局この個性的なルックスだ。
後ろから。外部に張り出したパイプフレームにミニマムな外装。これが百式のイメージだ。…もっとも、太い鉄フレームのためかこいつの実重量は必ずしも軽い方ではないが…。
先行して発売されていたBW'S に対し、この”X”は、モタード仕様ということでいくつかの特別装備を持つ。フロントディスクが波形であったり、メーターがデジタルのカウルレスであったり、そして、リヤショックがちょっと高級になっており、白いスプリングがそれを主張している。
ちなみに、見ての通りリヤには申し訳程度のキャリアすらなく、フロントにポケットもない。
スクーターとして積載能力は最低である。だが一応、小柄なフルフェイスならギリギリ入るらしいシート下トランクがあるので、日常レベルの荷物では通常のバイクよりはずっと便利な筈だ。
実際、長く乗ったレッツ4には申し訳程度のリヤキャリアがあったが、結局一度も使ったこと無かったしな…。
写真ではわかりにくいが、BW'Sの基本コンセプトであるオフ車風味を踏襲し、パイプハンドルであり、それにナックルガードが装備されている。
デジタル式メーター。これがイカす。
中央に大きく速度表示を配置し、それを取り囲む回転式バーグラフのタコメーター付きで、メインスイッチを入れた際にはタコメーターが2周するデモが入る。…どこかで見たような…というか、かつて乗っていたNinja ZX-6Rにそっくりだ。
右下のピザみたいのは燃料系トリップメーターや時計、オイル交換時期アラーム(2000kmだか何だかくらいおきに点灯するものっぽい)も着いて多機能かつ実用的だ。
デジタルメーターは188km/hまで表示可能だが当然そんなスピードは出ない。また、タコメーターは…何のために付いているのかよくわからない…無段変速なのに…。まあ、スクーターで任意の変速が無いとは言え、変速機構自体は存在しているわけで、回転数と速度は正しく一次関数的に比例しているわけでもないから、まったく無意味というわけでもないか…。
表示状、10000回転まで刻まれているが、さすがにまだ全開にしてないので本当はどこまで回るのかは不明。
そして、付属のマニュアル。
タイトルに入れた、「騎乗」と言うのは洒落じゃないぜ?説明書の表紙にに「騎乗前に読め」と。
内容は全編、これ何語?台湾は北京語?とにかく漢字である。
で、北京語は知らないが、漢字だし、そもそもバイクの操作なら大抵は把握しているから、読める。まあ、このマニュアルが日本語でないから困る、ということはなさそうだ。
ちなみに、説明書がこんななのは、この機車が台湾YAMAHAの製品であり、並行輸入品だからである。品質などなどについて多少は考えたが、そもそも現在国内で売られている各メーカーの原付は台湾や中国などで生産しているものがほとんどだし、中でも台湾は早くから原付二種が発展しており、品質には定評がある。
見た目のセンスがいいマシンは中身のセンスもいいのが通常なので問題なかろう。一応ネットで調べもしたが、目立ったトラブルなどは見かけないし。
メンテナンスに関しても、比較的家に近い大手量販店で買ったが、ショップの保証が1年ないし10000キロで付くので問題なかろう。
店から家までの道のりを乗った程度だが、インプレッションを少々。
同じ原付二種で最近に乗ったのはカブ110のみだから、それとの比較になるが…
まず、音が静かだ。意外なほど静か。快適と言えばそうだが、カッコいい見た目とのバランスも考え、社外マフラーとか付けたくなるな…。やらんと思うけど。
ブレーキは効く。何せそれなりの径のディスクを装備しているから、タイヤが新品なので強くかけてなくても全輪ドラムだったカブとは大分違う。これは安心感だ。
よく効くブレーキと、十分なパワーのあるエンジンに無段変速で、極低速での安定性、操作性は高い。これが結構楽だ。
足付きは悪い。買う前からわかっていたことだが…。シート高は780ミリだが、シートの幅が広いので、多くの人はつま先立つことになるだろう。俺の脚は残念ながら短めであるから、普通に両方降ろすと完全に浮く。ただ、所詮は原付、車体は軽く重心も低いので、つま先立ちでもあまりストレスは感じない。
ポジションはたぶん何か独特。原付二種としてやや大柄な車体だが、どっしりと座る感じではなく、高め固めの椅子にワイドなバーハンドルのオフ車スタイル。バイクっぽさがあり、結構いいかも知れない。
最後、今回、ヤマハの部品部門であるY’sギアから出ているウィンドシールドを付けた。さすが純正、メーター回りを複雑に湾曲させたスポーティなシルエットで意外とデザインを損なわず、カッコいい。
ただ、長さが、カブに付けてた大型スクリーンに比べると短く、ちょうど顔がはみ出る。胸元には風が来ないので寒くないが、顔は寒い。首をすくめれば風を避けることは出来るが姿勢としてキツい。ただ、今日は半帽だったのだが、既に楽天で注文済みのカッチョいいジェットヘルが届けば顔にはヘルメットのシールドがあるから、問題ないかとも。
最後に、とにかく見た目に惚れて買ったわけだが、実際、思った以上にカッコいいし作りもいい。せっかくカッコいいので格好良く乗りたくなってきた。ハンドルに袋とか付けないで。
スクーターなど…とバカにしてたけど、いや、ちょっと、ただの通勤の足として考えるのはもったいなくなって来たな。
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